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第1話 : プロローグ

1998年春、私は成田空港に立っていた。その後隣国韓国に約100回も出張することになり韓国式の仕事の作法や韓国人の気質に深く関わることになろうとは、その時には想像も出来なかったのである。
前年に韓国大手電子機器メーカの日本研究所が竣工した。当時日経エレクトロニクス等で大々的に技術者募集が行われ、私も試しにと人材登録してあった結果、約一年も経って是非来てくれと言う話があり、本国でこれから一緒に仕事して行く役員との面接の為の渡航であった。
不思議なことに面接時に技術プレゼンをして欲しいと言うことで仕方なく手持ちの評価版高周波シミュレータでの解析結果をパワーポイントで纏め持って行った記憶がある。その疑問の意味はその後の研究所での仕事を進めるに当たり存分に思い知らされるのであった。

空港で日本駐在員のK次長と落ち合い、現地案内をしてくれる予定になっていた。K次長は当時40歳に手が届くほどの年齢でなかなか好感のもてる雰囲気の男である。実はこのK次長はその後10年以上の付き合いとなり数々のエピソードを生む愛すべき人物となるのであった。

韓国出張はその時が初めてではなく1988年ソウルオリンピック当時、前の会社の仕事で何回か出張経験があった。当時印象的だったのはソウルに南山タワーと言う観光スポットが在るのだが、その曲がりくねった道路で前加重に耐えられず前輪の車軸が折れ立ち往生した現地車を見た事と、昼時の移動時に軍事非難訓練に引っ掛かり30分ほど地下鉄構内に強制避難させられた事位である。

10年たち街並みは多少整備され走る車もこぎれいになった様だが相変わらずのビル全面を覆うハングルの看板の多さに違和感を感じたのであった。

ソウルから少し離れた水原市(スウォン)という所にある韓国本社事業所での面接はK次長の案内と通訳で何事もなく終わり、お決まりの焼き肉パーティーで担当役員から宜しくお願いしますと言う言葉を頂き無事帰国したのであった。

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tag : 韓国 職場 体験記

第2話 : 韓国語習得

研究所入社当時は韓国との技術打合せのやり取り等は全て前出のK次長を通して行う事とならざるを得なかった。K次長の仕事上の立場は研究所で遂行される研究課題に関する日本窓口で、研究課題、納期、予算、研究員人事等の全てを統括していた。また本人の生真面目な性格上全てに目を通して納得できるマネージャーを目指していた。従って私の様な日本人研究員が直接韓国本社担当者とメール等でやり取りするのを嫌っていた節がある。

本社から来るメール、要求仕様等は一度K次長の元に入り日本語に翻訳されて私に届けられる。逆に私のプレゼン資料、メールの返信は一度K次長に渡り韓国語に翻訳されて本国に送られるという事となっていた。英語が多少出来るので英文で直接相手にメールを送るのだがなかなか返事が来た事はない。
これでは今後の業務展開を考えるとらちが明かないと思い一念発起して韓国語を習得することにした。

まずは、メール、資料等の文書のやり取りが多いので自動翻訳機の活用である。これで文章の<てにおは>の不自然さを我慢すれば意味は通じるレベルになる。<てにおは>については幸い韓国人事務員の女性がいたので逐一添削してもらう。これを半年ほど続けたら添削無しでもほぼ完全な韓国語文章の読み書きが可能となりその後K次長の手を煩わせなくても韓国本社との文書、メールのやり取りが可能となり韓国本社との業務遂行に非常に役に立った。

次に会話なのだが、文章と違って即答しなければならない。幸い日本語と韓国語は文法的にほぼ同等の言語なので語彙(言葉)の数と発音さえ覚えれば、日本語で考えた通りにその日本語語彙を韓国語に逐一置き換えれば大概言いたい事は伝わることが判った。

通勤時間を利用しての基本単語帳記憶とWEB記事から抽出した漢字語の記憶を一年程続けた所、自身が伝えたい事柄はほぼ100%言えるようになり自身で作成した韓国語プレゼン資料を現地で韓国語でプレゼンできるまでに上達したのであった。たまには聞き手が大爆笑する事もあったがたぶん日本語で言ったら「そうで御座りまする~」的、大時代的な表現だったのかも知れない。

難関は聞き取りである。どれだけ自己表現が出来ても相手の言っている事が聞きとれなければ会話は成り立たない。これだけは慣れるしかないのだが、何しろ韓国のTVニュースを見てもアナウンサーの話すスピードは驚異的である。50%でも聞き取れれば文脈から会話は成り立つのだがこれについては現在もトレーニング中の現状だ。

ちなみに韓国TVニュースを観ていると必ず内容を伝えるテロップが流れるが、これは韓国聴衆でさえ聞き取れない為ではないかと疑ってしまう。

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第3話:k次長の日本語

いつも韓国側との仕事のマネージメントをしてくれてお世話になったk次長は1995年ころから日本駐在員をつとめていた。日本研究所を設立するにあたり選抜されたメンバーのようだ。私が入社した当時駐在3年が過ぎ彼の日本語会話には不自然さは全く無かった。特に韓国人の発音には無い「ぜ」の発音にも違和感は感じ無かった。通常は「ぜ」を自然に「じぇ」と発音してしまう傾向があるのだが大分訓練しのだろう。

驚く事に彼は駐在前には日本語は全然できなく、駐在員特別プログラムで日本語を習得したのだと言う。3ヶ月間の合宿で日本語教育漬けにする特別プログラムである。合宿期間中は一切外出できなく日本語以外は一切使用禁止のプログラムだそうである。もちろん彼の能力によるところが大きいのだが、さすがに「パリパリ」「早く早く」の韓国企業である。

ところで私も研究所入社に伴い韓国語を一年ほどで習得したのだが、ある時疑問が生じた。韓国語で話す時は例え相手の話す言葉を50%程度しか聞き取れなくても会話が成立するし、「フンフン」と相づちを打っていれば相手から見れば完全に韓国語を話せると見えるのではないかと言う事である。

ひょっとしてk次長の日本語にも同じ事が言えるのではないかと思うと、思い当たる節が多々あった。そこでk次長に意地悪な質問だが日本語をどの程度聞き取れるか尋ねたところ「100%ではありません」と多少恥じらいながら答えた。何%なのかは追求しなかったが、その後はなるべく平易な表現で会話する事に気をつけたのは言うまでもない。

ちなみに関西弁は全然聞き取れないそうで、TVの関西漫才を見ても判らないそうだ。
当然な事に日本語強化合宿プログラムでは日本語の標準語しか教えてくれなかったようだ。

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第4話:漢字語の勘違い

日本語と韓国語は文法的にはほぼ同等である。また使用される語彙(言葉)も約80%が漢字語で殆ど日本語の漢字語と意味は等しい。特に自然科学、医学、法律、哲学用語等の明治維新以降西洋文献を翻訳した漢字語は100%日本から輸入した漢字語とみて差し支えない。従って漢字の韓国式読み方のこつさえ身につければ韓国語の漢字語は非常に覚えやすいと言えるだろう。

私の勤務していたS電子日本研究所では一月に一度社長も含めた研究所幹部が参加する研究開発プロジェクトの進捗確認月例会議があった。私が主宰するプロジェクトの発表を行い、お偉方から色々なご意見やご指摘をいただくのだが、韓国本社の方針と多少違うとかいう論議の最中だったと思うが、例のk次長が突然「それではプロジェクトを放棄しろと言うのでか!」と声を張り上げ発言した。「放棄」という言葉に私の部下も含め周囲は一気に張りつめた雰囲気になり、気まずい雰囲気で会議は終了したのであった。

私は後日思い当たる処がありk次長に会議での「放棄」の意味は「あきらめる」と言う意味かと尋ねた所、「そうですよ」とケロっとして答えるではないか。やはりそうだったかと私は内心大笑いした。
韓国語のあきらめるは「ポギハダ」という言葉で漢字で書くと「放棄する」となる。k次長の世代までは漢字教育を受けた世代であり彼は日本語の「放棄する」の意味を「あきらめる」と勘違いしていた様だ。

この様に同等の漢字から発生した言葉でも日韓で違う意味で使われる言葉があるので気をつけなければならない。

後日談だがこの一件がきっかけになりk次長から「今後私の日本語が変だと思ったらどんどん指摘して下さい、私の勉強になりますから」との言葉をもらった。誠にまじめな日本人らしい彼の申し出に感服し、ますます彼の人間性が好きになったのである。

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第5話:すぐやります

永年韓国系企業と仕事をしていると「判りました、すぐやります」が韓国企業とうまくつきあう秘訣だと判ったきた。
基本的に韓国は儒教思想が今でも色濃く残っており年長者、目上の物の命令には絶対服従である。また2年間の兵役が義務つけられており、ここでも上官の命令には服従せざるを得ないのである。喧嘩をする場合もまず相手の年齢を確かめ年長の場合は敬語を使って喧嘩を始めるという笑い話があるほどだ。

例えばS電子が顧客である場合、特別の注意が必要である。S電子は韓国電子機器産業界の頂点に君臨しており韓国内の電子部品業者などの取引業者は家来に等しい。

購買担当者や技術担当者が「ちょっとこの件で相談したいのだが」と電話すれば24時間どこにいても「判りました、すぐ伺います!」と駆けつけなければならない。通常は代理(係長)課長クラスの呼び出しでも担当者の他に役員クラスが同席する習わしの様だ。

仕様、納期、価格等の要求事項に対して内心ではどんなに無理だと判っていてもその場で決して「無理です、できません」と答えてはいけない。「判りました、ご要求の通りすぐやります」と答えなければならない。
相手もある程度無理な要求だと判っているので結果については余り追求される事は無いのである。つまり顧客に対しいかに忠実な家来であるか、やる気があるかを試している節があるある。

S電子内の開発プロジェクトにしても開発期間が客観的に観るからに無理だと判る物が多々ある。案の定、当初計画半年が一年~二年、当初計画一年が二年~三年と遅延するのが大半である。これに関しても開発責任者が責任を問われたと言う話は聞いた事がない。

日本の取引業者の場合注意が必要である。通常は顧客要求に対して、技術難易度、必要納期、営業的背景等のフィージビリティスタディーを実施してから回答するのが通例であるが、S電子の場合には通用しない。現地責任者の権限で即答できる体制を作るか、その場に関係者全員同席するかの配慮が必要となる。

とにかく殿様のご機嫌を損なわない様「判りました、ご希望通りすぐやります、すぐにやらせます」と忠義心を見せ回答する事が重要な様である。

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プロフィール

RFD-Lab管理人

Author:RFD-Lab管理人
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通信機器の高周波回路・部品の研究開発に携わって来た技術屋のブログです。現在は個人経営の技術コンサルタントを営んでおります。
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最近「ドローン」の無線応用技術についてスタディーを始めました。自動配達の為の自律飛行を補助する衝突防止レーダ等、興味深い分野です。
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​「ドローン」墜落事故が散見される中、現在は「航空法」に依って規制され、ラジコンによる「目視飛行」が許可されている様ですが、安全飛行の為には無線通信の確保が大前提となります。
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またRFD-Labホームページに掲載した技術解説記事のPDF抜粋も併せて掲載しますのでご興味のある皆さんは参照して下さい。

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