昔韓国のTVのCMで現代自動車の「韓国の自尊心」というCMを観たことがあった。この国は車のCMにまで自尊心を持ち出すのかと呆れた記憶がある。元々三菱自動車のノックダウンでデザインだけを変更した車に「自尊心」を持ち出すのは奇妙なもので、ウリナラもようやく純韓国産の車が作れるようになったと国民にアピールしたかったのだろう。
しかし最近のニュースを見ると、燃費ごまかし発覚による米国での訴訟問題やら、雨漏りがする車の発覚問題やらで「韓国の自尊心」も地に落ちてしまったようだ。
韓国社会では先ず「五体満足・容姿端麗・頭脳明晰」でなくては男女とも出世はおぼつかない社会の様である。「頭脳明晰」は外見からは判断できないので「五体満足・容姿端麗」が先ず求められるクォリティーとなる。身体障害者や醜い容姿の人間をおもしろおかしく表現した「病身舞い」なる伝統芸能がある位であるから恐るべき差別社会でもあるらしい。
現在でも韓国企業が行う女性の人材募集条件には「容姿端麗」は残っているらしく、ことばを変えればブスは応募するなと言っている訳で、そういう自覚のある女性応募者にとっては誠に腹が立つ社会である。そのような「ブス」差別社会への女性たちの反逆・適応が美容整形王国を形成しているのかもしれない。
男性に関しても「容姿端麗」は女性ほどでは無いにしても散見される。日本でも時折見かけられる韓国のTVのニュース番組やバラエティー番組ではいわゆるハゲ頭の男性を見かけることは殆ど無い。欧米では頭の薄い男性は男性ホルモンの分泌が盛んで、むしろセクシーと観られる事が多いし人気男性俳優にも頭の薄い役者も多い。
さて、筆者の韓国の大企業S電子、L電子での勤務経験の中ではハゲ頭の技術者に接した経験は全くと言って無い。時々ちょっと髪の生え際が怪しいと言う人物はいるにはいたが。一時はニンニクや唐辛子等のカプサイシン成分の効能で髪の生育が甚だしく良好なのかとも思ったが、後にそうでも無いと判ったのであった。
L電子の中央研究所に技術顧問として勤務していた時の話である。筆者は中央研究所の携帯電話用の小型アンテナ研究開発部隊を統率するH技術部長を技術サポートするのが任務であった。彼の下には約30名近くのアンテナ・高周波専門の若い技術者が勤務していた。
しかし彼の元々の技術専門分野はデジタル回路系であり、部下の専門技術分野に関しては色々独自に勉強している様であったが実質的には部下任せになっていたようである。おそらく彼はL電子の携帯端末事業の黎明期からハードウェアの開発に尽力しその地位を得たのだろう。真面目な努力家の好青年に筆者は好感を持っていたのであった。
彼の唯一の引け目は韓国語で「カバル」を装着していたことだ。漢字で書くと「仮髪」で「カバル」と読む。漢字で書くと一目瞭然であり日本語で言うと「カツラ」である。彼の「カバル」は整形美容大国の韓国にしては珍しく、生え際を観るといかにもとそれと判る出来栄えであった。
部下の若い技術者たちと話す時には専門分野の違う上司への多少の軽蔑の面も含め、彼の事は「テモリ」というあだ名で呼ばれていた。「テモリ」とは日本語で言うと「ハゲ頭」の意味であるから本人がいない所の話での話ではあるが酷い話である。
かと言って彼が部下に慕われていなかったという訳ではなく、物理的な「テモリ」の部分を除けばそれなりに尊敬されていたようなので面白い。それならば、彼も韓国社会の掟を破り「カバル」を脱ぎ捨てて堂々と「テモリ」として生きれば良いと思うのだがそうもいかないらしく、他人の身体的な欠点を論ってまで競争社会で生き残ろうとする風潮の中では仕方ないと諦めているのであろうか。
そういえば筆者が昔勤めていた日本のアンテナ会社でのエピソードを思い出す。当時の直接の上司である部長が見事な「ハゲ頭」であった。本人は自信満々な人間で自分の「ハゲ頭」を自虐ネタにする程で、全然気にする様子はなかった。筆者は逆に髪は充分にあったのだが、何しろ若い頃からの白髪頭で対照的であった。
当時は仕事が終わってから会社の近所の雀荘で仲良く雀卓を囲む習慣があったのだが、そんな席での出来事である。麻雀プレイ中に何かの弾みで部長から筆者の若白髪ぶりをからかわれたので、つい何も考えず「白髪は染めれば良いけどハゲは染める髪もなくて可哀相だ」と言ってしまったのである。言われた本人は大声で笑っていたが、眼差しが笑ってなかったような気がする。
その様に、本人は気にしていないように振る舞ってはいても、本当は微妙な問題なのかもしれない。その後筆者と部長の人間関係がどうなったかはご想像の通りである。
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テーマ : 韓国について
ジャンル : 政治・経済