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第7話:「k次長、韓国語上手ですね!

S電子日本研究所は基本的に韓国本社研究所の傘下にあり運営されていた。しかし研究開発予算は自動的に年間予算として計上される訳ではなく各プロジェクト毎に研究課題提案し承認された上で予算化される仕組みになっていた。従って黙っていても人件費も含め予算は降りないので毎年韓国本社が欲しがる様な研究課題を創出しなければならず私の様な研究室マネージャーは年度末になると十数人の部下の生活も考え胃が痛くなる毎日が続くのであった。

基本的には韓国研究所を研究課題を補完する様な形で日本が得意な技術を日本研究所で実施していく方針で比較的うまく行っていた。韓国研究所傘下には日本以外にも、中国、インド、ロシア、米国等に海外研究所等を抱え、例えばロシア研究所を例にとれば、大学教授クラスの技術者の人件費が当時で年間200万円程度であった事を考えると日本研究所は健闘していたと言えるかも知れない。

さて、韓国研究所との円滑な業務遂行の為には頻繁な技術打ち合わを実施し、研究課題の補完関係を構築する事が重要で当時は最低でも月一回は現地に出張し打ち合わせを実施していた。

ある時k次長も同伴して打ち合わせをしていた時のことである。

まず私が韓国語で技術的な内容について話した後、k次長がプロジェクト全体について話した。打ち合わせはうまく終わり、最後に韓国人の打ち合わせ相手がこう言った。

「k次長、韓国語が上手ですね、どこで習いましたか?」

k次長は一瞬呆気にとられた後照れ笑いをしながら「私韓国人ですから~」その後皆で大笑いしたことは間違いない。

k次長は韓国でも南側の慶尚南道(キョンサンナムド)という所の出身である。韓国南側の地域出身の人には顔つきを見ても日本人と見分けられない人が多い様であるし、韓国でも有名な訛りがあるらしい。ちなみにこの地域は紀元4世紀ころ伽耶国が存在し、伽耶国にはヤマト朝廷の出先機関である伽耶日本府がおかれたと日本書記等にも記され、日本の軍事的、経済的影響力が大きかったと見られているらしい。

その後酒の席でも何度かその話題をすると、決まって照れ笑いを浮かべ、さらに顔を赤らめるk次長であった。

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通信機器の高周波回路・部品の研究開発に携わって来た技術屋のブログです。現在は個人経営の技術コンサルタントを営んでおります。
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最近「ドローン」の無線応用技術についてスタディーを始めました。自動配達の為の自律飛行を補助する衝突防止レーダ等、興味深い分野です。
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​「ドローン」墜落事故が散見される中、現在は「航空法」に依って規制され、ラジコンによる「目視飛行」が許可されている様ですが、安全飛行の為には無線通信の確保が大前提となります。
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またRFD-Labホームページに掲載した技術解説記事のPDF抜粋も併せて掲載しますのでご興味のある皆さんは参照して下さい。

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